最近の靴修理で、よく「2,3回履いて靴底が取れた」とか、
「亀裂が入ったから何とかしてくれ。」というのがあります。
(ただ、よくよく話を聞くと、買ってから3年位しまってて最近出して2,3回だそうです。)
上の方(甲革)はまだピカピカだから、もったいないということですが、
本当にびっくりするぐらいきれいなものがほとんどです。
修理の方法としては、オールソールが9割です。
分解している材質の部分を全部とってしまい、新しいものをつけるやりかたです。
今、当店で行っているオールソールの半分は、このパターンです。
当店で扱っている材料は、加水分解するものはありませんので、安い靴を買ってまた2~3年で
だめにするより、オールソールできれいにして長く履きたい、また、肝心な時(冠婚葬祭など)に
安心して履きたいにというパターンのお客様です。
これは、なぜこういうことになるかというと、
もう、ご存知の方も多いですが、加水分解といって水分(湿気)を吸って分解してしまうからです。
確か、ウレタン系みたいな石油メインで作られたような材料(あんまり詳しくなくてスイマセン。)が
状況によりけりですが、だいたい2~3年で分解するようです。
賞味期限とはいいませんが、賞味期限的なものがありました。
しまっておいて、肝心な時(冠婚葬祭など)に出したらだめになってた、履いたらぼろぼろに分解
した。という話しはよく聞きます。最近では、もっとひどくて、買った時にはわからなかったが、2日
ほどしたら亀裂がはいっていたなどもありました(お店屋さんや問屋さんでしばらく寝ていた可能
性がありそうです。購入時点ですでに分解は始まっていて、強度などが落ちていて、履いたら伸
びたりするするので亀裂が入った。セールにありがちなパターン)。靴には賞味期限的なものは
書いてはいませんが、製造年月日を嘘偽り無く表示していただけたら、安心して買えると思いま
す。(思っただけです。)
しかし、ウレタン系がこれだけ分解してるのに、これだけ出回るには、安価に靴が作れて、当然
安値がつけられ、そして、需要があるという仕組みがあるからだと思いますが、それだけではな
いような気がします。
購入時に材質や修理を気にする人はあまりいないようですし(しばらく履いてみないわからない
ときもあります。いつのまにか気に入ってたなど。)と、加水分解自体の知識がない事や、あっ
ても購入時に見分けるのは、難しく、よくよく話を聞くと、靴屋さんにも良くわからないというのが
あると思います。説明は、付属の靴箱のふたの内側にたまに書いてあるのを見ます。
コッポリでは、削ってみて、「溶けるか」、「溶けないか」で、見分けています。それによって修理
の方法を変えたり糊を変えたりして対応しなければならないので、重要なポイントなのですが、
毎年新しい材料が出てきて見分けるのが難しく、あらかじめわかっているものと、わからないも
のもあります。かなり、経験が必要とされるということです。
このようなケミカルシューズのような類は、使い捨て前提の設計で、材質はウレタンで十分とい
うことなのでしょう(靴の作りからの推測です)。
そして、これだけは、守っていただきたいのが、毎日連続して履かないこと。風通しの良い所に
おいてください。シリカゲルなんかも有効でしょう。季節や環境に左右されますが、週に2~3回
履いてる位が水分のバランスが良いようです。これで、少しは、足の健康と、靴の長持ちのため
にはいいと思います。
コッポリでは、一応それ用に接着剤など用意してあります。「他の店でやったらすぐ取れた」や
「できない」と断られた等はウレタン系の材質が7割りです。1度当店の糊を試されてはいかが
でしょうか?また、接着剤だけでなく修理の方法と使用する材料にもノウハウがありますので、
、かといってご予算の関係もありますので、(修理方法をランクダウンさせると持ちが悪かった
りする。)ご相談ください。
写真の靴は、ベイサイドマリーナのアウトレットで10年ぐらい前に5800円で購入しました。
チョリンチョリの現役です。あと5年はこの靴と一緒に歩きたいです。
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